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Forest通信
 
 茅野市 たてしな自由農園 山本活夫さん
地域農業を守る直売所に
  〜画一的な食品販売は面白くない
   売り方の工夫で育つ良質の農産物〜

 農産物直売所が、いろいろな視点から注目されるようになっています。「食の安全・安心」に対する消費者の関心が高まり、  「地産地消」がクローズアップされている時代状況がその背後にあります。
 そのような中、農産物直売所を運営する方々はどのようなことをお考えなのでしょうか? 
 
 茅野市の蓼科高原の玄関口で直売所「たてしな自由農園」を営む山本活夫さんにお聞きしました。

 「もともとは、デパートに勤めていたんだよ。定年を前にもっと別の生き方・働き方もあるんじゃないかって考えてね、直売所を始めたんだ」
 昔からの知り合いのような気さくな口ぶりで話してくださいました。
 たてしな自由農園の開設は、今から6年前の平成12年。茅野市郊外豊平の国道152号沿い、堀交差点の近くに店を出しました。地元蓼科高原で取れるトマト・大根・キャベツなどの新鮮な野菜や、リンゴ・白桃・ブドウなどのおいしい果物それに野沢菜漬けやトマトジュースなどの厳選した加工食品がメイン。
 評判が評判を呼び、地元の住民だけでなく、蓼科高原の別荘に長期滞在する観光客や、その人たちから口コミで話を聞いた観光客が次々と店を訪れ、3年後の平成15年には、ビーナスライン沿いの花蒔(はなまき)にも2号店を開設しました。来年平成19年には、原村にも店を出す予定だそうです。

 「デパートやスーパーは、いまやどこも同じような品揃えでしょ。商品の並べ方もほとんど変わらないよね。自分も一生懸命そういうことをやってきたけど、もうお客さんの方が、そんな画一的なものじゃ面白くないーという時代になっちゃったと思うんだよ」
 その言葉通り、堀店開設の時から、蓼科高原をはじめ八ヶ岳に広がる農業地域を駆け回り、特色ある農産物、「これは旨い」といえる農産物を探して歩きました。
 回れば回るほど「日本一美味いトマト」「最高に甘い白桃」「みずみずしさと旨みがピカイチの高原野菜」などが見つかり、「是非とも、たてしな自由農園で扱わせてほしい」と、生産農家を説得したそうです。
 店頭に並べたところ、まず驚いたのが地元客。「諏訪にこんなおいしい野菜があったの?」と口をそろえました。次に、別荘で休暇を楽しむ滞在型観光客が、「こんなおいしいものは、知り合いに送らなくちゃいけない」と、自分で購入しては、その場で箱に詰め、宅急便で都会に発送したといいます。
 ところが、この好評ぶりに驚いたのが地元の生産農家。「自分たちの作る農作物が、これほど消費者に受け入れてもらえるのか」と喜び、「それなら、もっと一生懸命に作ろう」と、高齢化や跡継ぎ不足などの問題を抱えて後ろ向きになっていた姿勢を変えて積極的になりました。山本さんはこのことがとてもうれしかったと話します。
 こうして、しだいに出荷農家も増え、現在では232戸251人もの農家が、たてしな自由農園に生産物を持ち込みます。

 「デパートにいた頃はね、リンゴやミカンなんてありふれていて、果物としては将来性がないという言葉をよく聞いた。でも、売り方を変えればお客さんは買ってくれるんだよ」
 高級贈答品用に少ない数で丁寧にパッケージしていたリンゴを、思い切ってビニール袋に詰め込んで売った。そうすると飛ぶように売れていく。デパート勤務時代も、「デパートのご法度」を破ってみると、そういう場面に何度も出くわしたそうです。
 「自分で直売所をやるようになって、売る方がその気になって売り方を工夫すれば農作物は売れる。そうすると、農家がどんどんと良い生産物を作るようになる。そういうことをほんとうに実感したよ」
 この言葉には、ご自分が農家でなく、流通業からの転身組だったがゆえに、直売所を支える生産農家に地道に協力をお願いして回ってきた、そういう経験がなければ語れない、言葉の重みが込められているように感じました

 山本さんは福井県の漁師村の生まれ。子どもの頃から海で魚や貝を獲っていましたが、観光で立ち寄った「都会のお金持ち」が、その魚や貝を喜んで買ってくれたことが印象深い思い出だそうです。
 「こうやって自分で取った物を直接お客さんに売ると、お客さんも自分もうれしいんだなぁ」。そんな風に感じた幼い頃の思いを、農産物直売所の運営に込めて、今日も元気一杯、働いておられます。

■□取材ナビゲーターの感想
入った瞬間に「あ、おいしそう」と感じるお店でした。名前にマッチした自由な雰囲気もあります。対面販売を重視しているとのことでしたが、お客様が何を感じ、どう考えているかを応対の中でつかむというのは、自分の仕事にも共通することで、その心構え一つで、いろいろなことが大きく変わっていくというお話はとても勉強になりました。元気な直売所があって、それで地元の農業が盛んになっていくことって、とても素敵なことですよね。
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